『2019年 笑顔4月号』年金のキャリーオーバー
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年金額は物価や賃金による改定に加え、少子高齢化に対応するためマクロ経済スライドによる調整が行われています。そして、2018年度から、マクロ経済スライドのキャリーオーバー制度が始まっています。
芳子 年金額は、どんな仕組みで改定されるのですか?
横山 物価と賃金の変動によって改定されます。さらに少子高齢化に対応するために「マクロ経済スライド」によって調整されます。
芳子 物価と賃金の変動は何となくイメージできますが、マクロ経済スライドって何ですか?
横山 年金は、現役世代から年金をもらう人へ仕送りする仕組みになっているのを知っていますか?
芳子 聞いたことがあります。年金をもらう人が増えて余命が延びれば、現役世代が負担する保険料が増えますよね。
横山 それだと、保険料負担がどこまでも上がってしまうので、保険料率の上限を固定して、限られた財源の中で年金額を調整するのがマクロ経済スライドです。2004年の改正で導入されました。
芳子 具体的には、どんな計算方法なんですか?
横山 平均余命の伸び率-0.3%(固定)×公的年金の被保険者の減少率(過去3年度平均)で算出されます。
芳子 そうすると、年金額をマイナス調整していくのですね。今まで毎年調整されてきたのですか?
横山 いいえ、物価と賃金がどちらもプラスのときだけ調整するので、15年の一度だけです。
芳子 それだと、ほとんど効果がないですね。
横山 そうです。それで法律が改正され、18年度は、物価変動率はプラス、賃金変動率がマイナスでマクロ経済スライドによる調整は行われませんでしたが、その分は繰り越され(キャリーオーバー制度)、19年度に反映されました