『2019年 笑顔8月号』海外で働く人の社会保障協定
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日本と中国の社会保障協定が2019年9月1日発効します。今回は、海外で働くときに知っておきたい「社会保障協定」をご紹介します。
真一 日本の老齢年金を受けるためには、年金の加入期間が10年以上必要なんですよね?
横山 そうです。改正前は25年必要でしたが、だいぶ短くなりましたね。
真一 海外勤務の期間はどうなりますか?
横山 日本の企業から海外に派遣されると、日本と相手国の年金制度に二重加入します。
真一 保険料を負担して必要な期間を満たせば年金をもらえるとしても、負担は大きいですね。
横山 両国分ですから負担は大きいですね。でも、社会保障協定を締結した国に派遣される場合は、二重加入が解消されますよ。
真一 その社会保障協定って何ですか?
横山 諸外国と日本の間で二重加入を防止する協定で、両国間の年金制度の加入期間を通算する仕組みもあります。
真一 通算というのは、日本での加入期間が5年、相手国での加入期間が5年なら、合計10年になるので、日本の老齢年金を受けられるということでしょうか?
横山 そうです。ただし、イギリスと韓国、今年9月1日に発効する中国は、二重加入の防止のみで、年金加入期間の通算規定はありません。
真一 相手国によって協定内容が違うんですね。
横山 そうなんです。ここでは年金について説明しましたが、医療保険制度、雇用保険制度、労災保険制度も協定の対象となっている国もあります。各国との協定内容は、厚生労働省と日本年金機構のホームページで確認できます。